世界がすべて正解じゃない

長い夢を見ていたんだな、と思うようになった。

あまりに当たり前みたいにその幸せが続いてきたから、それを享受する生活に慣れ過ぎてしまった。この数日間はずっと悲しさに心労して過去の楽曲も映像も見返せずにいたけれど、いつかはいないことも当たり前になって、悲しみにも慣れが来て、痛みを痛みと認識しない日が来るんだろう。そのことが今は無性に寂しい。

たったの5年間。だけど、まだ短い私の人生の、大事な大事な5年間。


4人に出会って知らなかった場所に飛び込んでから、世界に色がついたみたいに、目に映るもの全てがキラキラして、毎日が楽しくなった。NEWSを見ている時はいつも、それがライブでもバラエティでもDVDでも歌番組でも、人生の一番楽しいことをその瞬間に詰め込んで味わわせて貰っているような、そんな気持ちがしていた。

好きなものがあって、それをエネルギーにして生きる日々はこんなに楽しいんだと、NEWSを好きになって初めて知った。涙が出るくらい胸がいっぱいになる好きの気持ちも、そんな気持ちを表現する沢山の言葉も、全部教えてくれたのはNEWSだった。





突然なんですけど、私には自分と対局みたいな双子の片割れがいます。(弟と思ったことないけど便宜上弟と表記)

顔はまぁまぁ整ってて、真面目で努力家で、コミュ力化け物で、明るくて、頭が良くて、30人もいる部活でキャプテンに推薦されたり、小学校中学校とも一発で過半数の票数を獲得して生徒会長になっちゃうような、人望もある奴。

集合写真見返すと、狙ってないのに大抵真ん中にいるような奴。いるじゃん、そういう人。

極め付けに優しい。いい奴。

なんかもう圧倒的に陽側の人。(身内のくせに死ぬほど褒める)

ジャニーズJr.だったら、まぁ顔面のクオリティは他より劣るのでヒロムには特段気に入られることはないと思うけど、熱意と統率力と誠実さをファンに見染められてそこそこいいポジションまで行くと思います。歳上からの可愛がられスキルがハンパじゃないので、デビュー組担からの沼落ちは典型パターンだな。身内のとんだ過大評価すみません。




かたや私。

クソウンコブスで、頭も悪くて、努力できない怠惰な人間で、のくせにプライドは高くて、何やらせても失敗ばかりで、昔から中途半端に問題起こして学校から電話かかってきたり親呼び出されたりするような出来損ないだった。

抜け作な所とか怠惰さとか、後天的な自分の人間性の問題も大いにあるけれど、生まれた時点から立っているスタートラインに大きな差があることを度々感じるのは結構苦しかった。彼の持つアドバンテージが羨ましくて何度も妬み嫉んだ。


小学校低学年の頃、3つ上の姉に『弟可愛いねはよく言われるけど、妹可愛いねは言われたことない』という爆弾サイコ発言を面と向かってされたことがある。幼さ故の残酷さである。

今だったら『こっちだってお姉ちゃん可愛いねなんて言われたことねぇよ』と返せる程度にはメンタルがゴリラ化してしまったけれど、その時はか弱い小学生だったので一人で隠れて泣いた。悲しかった。私って可愛くないんだなぁと幼心に悟った。いつもブスと罵られていたので、可愛い可愛いと大切にしてくれるお姉ちゃんを持つ友達が心底羨ましかった。


他にも、意地悪された記憶しかない中学の部活の女の先輩が委員会通じて弟と仲良くなっていて、私には一度も向けたことのない満面の笑顔で弟に手を振ってたのを見たりとか(クソ)

同級生の男子に「栄養が全部片割れに行っちゃった感じだよね」って言われたりとか(クソ)、

まぁ私が一度言われて傷付いた言葉はデスノートにでも名前書くんか?レベルで記憶するタイプだという可能性は無きにしも非ずだけど、不幸エピソードを羅列しようとすればザクザク出てくる程度には、出来のいい弟に対する劣等感で苦しんできたなと思う。


来年成人を迎えるけれど、高校生活の3年間は、そういう自分と対峙して猛烈な死にたさを感じる日々の連続だった。家族も友達も大好きで大切で、自分が恵まれた環境にあるという自覚もあるのに、消えたくてしょうがなくて、誰か助けてっていつも思っていた。死にたい消えたいを連呼し過ぎて何度も母親を泣かせた。今年やっと行きたかった大学に合格した時、「あなたが胸を張ってこれからを生きていけることが何より嬉しい、それだけが望みだったんだよ」と泣きながら母に抱きしめられた。



ゴールの見えない暗闇をただ彷徨っているようだった毎日の中で、NEWSだけが生きがいだった。4人に会える日を思うだけで、「そこまではどうにか生きよう」と思える、先行き見えない道に旗を立ててくれるみたいな存在だった。NEWSを見ている時はいつも120%幸せの感情だけでいられた。「一人じゃない」みたいな綺麗事も、NEWSが言うから本気でそうだと思えた。


学校行きたくなさに打ち勝つために、NEWSの音楽を聴いていた日がどれくらいあっただろう。

小山さんの「近くにいるから」「明日からまた頑張れよ」の言葉に、手越くんのどんな状況にも負けない強かさと前向きな言葉に、シゲアキさんがくれた「世界がすべて正解じゃない」の一節に、増田さんのやさしい歌声と屈託のない笑顔に、どれだけ救われた夜があったんだろう。


シゲアキさんの団扇を持ちたいと願ったあの日から、結局一人も選べなくなるほど「4人」を大切に想い過ぎてしまった。「4人のNEWS」を、生きる指標みたいに心の支えにし過ぎてしまった。二年前の諸々からずっと、一人も欠けてはならないのだと、強く願い過ぎてしまった。



驚くほど前を向けずにいる。どちらの側に向く言葉にも、頷けない。憎めないし、選べない。両方を応援しようとしても、どちらかを応援しようとしても、結局は片方を否定することになりそうで、4人が同じ方向に向かっていないという事実に心が死んでしまいそうになる。

だから、ここら辺で一旦、4人が好きだという気持ちに蓋をして、綺麗なまま閉じ込めてしまおうと思う。
もう誰にも、不用意に触れられて傷付けられたりしないように、大切に仕舞っておきたい。

溢れそうなくらいの思い出たちと、誰かをこれほど愛したのだという記憶、貰った沢山の素敵な気持ちをちゃんと抱えて、彼らがいなくても一人で歩いていけるように、強くならなきゃと思う。



二度と来ないあの季節は 今でも胸に思い出す度
あのままの輝きで 大丈夫と背中を押すから

どんな言葉の限りを尽くしても表せない感謝を、彼らがこれから歩む先になるべく悲しいことがありませんようにと、祈りに変えて。